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「深夜特急」の世界に憧れて (回想録 XX年)
部屋を見せてくれと頼むと、快く応じてくれたおじさんは、フロント横の壁に取り付けてある、木でできた部屋の番号がふってある棚からキーのついたプラスチック製の大きな棒を取り出した。
その棒には「211」と彫ってあった。
角が欠けて丸まって、年数を感じる。
この街を見ていて「ほっと」する理由がわかるような気がする。
物を大切に、トコトン最後まで使っているのがわかる。
人間の心といっしょで、物も丸みが出るまで使っている..........
部屋はどうやら二階のようだ。
そのあと、おじさんに連れられ上がったのだが、もちろん、このクラスのゲストハウスにはエレベーターなど無いので、奥の薄暗い階段で。
一段一段、踏みしめて階段を上がるたびに、ギシギシと音が鳴る。
木で出来た階段で、油引きがしてある。
独特な油引きの匂い。
どこか懐かしい。
私が小学校の時に通っていた木造校舎の油引きの匂いと同じだった。
「211」は、階段を上がってすぐの部屋だった。
おじさんは、鍵を開け、部屋の灯りをつけ、「どうする?」という感じでこっちを見た。
私は、すぐさまトイレとシャワー、それとエアコンをチェックし、窓のカーテンを開けて見た。
遠くにメイン通りに並ぶ店の賑やかな灯りが見えた。
すぐに気に入った。
「I take」
おじさんの、ニコッとした顔が今でも思い出される。

211号室 (ダディーズホームホテル)
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