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「深夜特急」の世界に憧れて (回想録 XX年)
出国審査場を過ぎると、かたちばかりの免税店があり、その少し先に「GATE 3」はあった。
「TG304便」の待合室には、プラスチック製の粗末な椅子が、整然と並べられているだけだった。

私は、その一つにリュックを下ろし、窓に広がる滑走路を眺めながら、この国での出来事を思い出して感傷に浸っていた。

何が最も印象に残っているのか?
今、もし誰かに尋ねられたらどう答えるだろうか。

普通なら、脳が自動的に記憶のデータの中を駆け巡り、無数にあるパゴダや遺跡などから一つつまみ出し、意識の中に表示するのだろうが、何故かこの時出てきたのは、「物」ではなく「人」だった。

あの「スラマニ寺院」の前に出ていたお店の「オバチャンたち」だった。
人がほとんどいない遺跡群の中を、自転車で走り回り、何度も通って冷たいものを買った。

今から考えると、高校時代の部活の後にタムロしていた「駄菓子屋」と重ねていたような気がする。
人は、目の前の現実の中に、遠い日の楽しい記憶を見つけた時、「忘れ得ない記憶」として脳裏に焼き付けるのかもしれない。
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