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「深夜特急」の世界に憧れて (回想録 XX年)
一時間ほど「マハーセディーパゴダ」の静けさを味わうと、私はサイカーの待っている門のところまで降りてきた。
見てみると、真っ黒な肌をした例のサイカーの男性は、自転車の上で器用に横になって眠っていた。
この後は、市内の中心の食堂街あたりで最後に降ろしてもらうことになっている。

サイカーに乗っている間、後ろからペダルをこぐ男性の姿を見ていると、全体的には痩せこけているのであるが、足だけは陸上選手のような立派な筋肉をしている。
ちょうどエチオピアの長距離選手とそっくりだ。
多分、50キロくらいしか体重が無いように見える。
時折、登り坂にさしかかると、ハアハアと苦しそうに息をしながら、蛇行して立ちこぎの体制で自分の全体重をかけて登ってゆく。
70キロの体重の私が乗っているのが何か申し訳なくさえ思ってくる。
だから、乗っている間中、ずっと何か落ち着かなかった。
私はこの光景を見て、「生きていくために稼ぐ」ことの大変さを、この時思い知らされたのを今思い出す。


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