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「深夜特急」の世界に憧れて (回想録 XX年)
チケットの予約を頼むと、少年は受話器を持ったまま私の方に紙と鉛筆を差し出した。
何か書けと、仕草で伝えているようだ。
「NAME」とだけ小声で少年は言った。
予約を入れるのに必要なのだ。
言われた通り紙に記入して少年に渡すと、電話の相手に伝えながら、年季の入った机の引き出しを開け、恐らくはチケットだと想像のつく冊子の束を取り出した。
そして、電話を切るとその束から真新しい1冊を開けて、私の名前を記入し始めた。
ここまで、実に手際が良かった。
子供だと思って侮っていたのに大したものだ。
そして、約束の105FECを払ってチケットを受け取ると、また少年たちは何事もなかったかのように遊び始めたのだった。


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